石原とつき
① しどろもどろなブロッケン現象は燻製はくすくす
② 「クラリネット壊れたの」困ったね「まぁ牡蠣フライでドンマイ」
③ 喜望峰な肋骨な訳すとなると貴重な土偶
④ 妄想の果ての果の鮫の光合成の決着
平林吉明
⑤ カウンターによくしゃべる男
⑥ 閉じた店の貼り紙はがされている
⑦ 火遊びの夜の富士山噴火口
⑧ 笑うわけでもないしマスク外す
叶裕
⑨ ボーリング行こうぜ昭和の歯並びで
⑩ 火宅にも犬小屋
⑪ ミラーに映るぼくとやくざと長財布
⑫ 犬釘錆びて全員が敗者だ
草の耳彦
⑬ 私が君が皆が忘我
⑭ 風が揺れる自我が
⑮ 能管切り裂く隙間に溢れ落ちる小鼓
⑯ 時計に二十四時は、なかった
大川崇譜
⑰ シフォンケーキの弾力のここにある限りの月
⑱ 博多のうたうたうかつての若者会
⑲ 父の残り捨てにいく町一番に舗装された道
⑳ おしゃべり利き手の錆びていく
柴原色正
㉑ 十二月無風の有識者会議
㉒ ベルベット裁つ恍惚少女大人になりぬ
㉓ 斜めにへりた口紅一年がにゅうーと
㉔ 年の暮ついに真っさら勝負ブラ
田中耕司
㉕ この町ツワブキの花少女がゆるめの首巻き
㉖ 買えるなら持って帰りたい青空
㉗ シュッて自転車で野球少年の貌
㉘ 冬薔薇嘘云ふ
暗渠
㉙ 転職で辞める上司に山茶花二輪
㉚ 北風猛く懊悩いよよ深し
㉛ 大山鳴動対露制裁
㉜ 天井の夜空は冴えてカシオペイヤ
秋月祐一
㉝ こんなところに墓地みんな同じ苗字だ
㉞ 夏、ミトコンドリアイヴとの恋
㉟ うじやうじや海老から進化した人類
㊱ 木星みやげのリキュールあり〼
石川聡
㊲ お別れ夕暮れ重くなる
㊳ 鍋焼きのつらゆきのちらしがきかな
㊴ チャーシュー分厚く浮いたDEAD SEA
㊵ ゆどうふふふふふふびどうしててまよ
木野清瀬
㊶ 高笑い上手くて雪の女王役
㊷ 雪だるまに耳朶つけた子好きになる
㊸ イチゴスプーン買って昭和を潰せない
㊹ まあだだよ月の暦の雪の討入り
白石ポピー
㊺ こわれた秒針の風たちそめるひそやかな洞
㊻ カワイイ瀑布る瀑布る
㊼ ねばつくテールライトに点眼する麦酒
㊽ 放縦な荘厳にプリズむ
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