SZNK 五月












けいえむ(暗渠)





持久戦夏蜜柑の皮を剥く







斜面ごと濃紫陽花咲き始め







都営バス都電乗り継ぎてくてく登る飛鳥山







笑顔に香るホットブレンド北区王子の喫茶店






石川聡





雨だれに入る







桐の葉みゃくの画数はつなつ







発光する瓶詰めのゆめ雨のあけがた







にょっぽり梅雨がふりむく







木野清瀬





ダヴィンチもをんなに惑ふ聖五月







てふてふと指さす子あれはかはほり







新宿に汚れた皿を濯ぐ虹







さよならを連れてさらさらと漣




田中耕司





雪駄の鼻緒が切れたそして夏が来る







十薬だって白い花そんな邪険にするな







なんでくんへの答えが出てこないまるでモンシロさ






もう三輪車は卒業アゲハ捕まえたいそうだ




来栖啓斗





傘に話しかけて返事がない







機械みたいに機械が壊れる







人形展にもいたのだろうか







言える分だけ綺麗だと言う




小早川すすむ





鏡に写せばまだ帰らなくていい時間







タクシーの曲がふたりの気持ち汲まない







わたし割り切れぬ素数







降り積もる静けさダイハード観て寝る




大川崇譜





夏は横棒長く洗濯ばさみ







落雷ちかいとなんていう







起こりうるなんでもパンダの境はあいまいで







二度目の夏だ風おこせフレンチクルーラー




叶裕





死期を知る猫と梅雨空







四畳半は方舟自傷の痕だけが白いよ







耳まで裂ける緑蔭







ポリフォニーな森




モノフォニーなどんぐり 




平安まだら





割れるとき初めて聞く花瓶の肉声







叩いたら生タトゥーシールと化す蚊







空の紙パックジュースを吸うオレンジ味の空気がある







109byteの土下座に俺が宿っている‍🙇️‍♂️










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サザンカネット句会のメンバー内ブログです。 DMはTwitterの@genuinegohanteiまで。

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