5月句会

平林吉明

① ころんだしんだそうだうそつき

② 咲くモクレン紫色の打ち明け話

③ 季語の無い哀しみの心拍数

④ シのおとするこころのピアニシモ


石原とつき

⑤ じっくりきれいな布きれ濡れぎぬ。ひらけごま、

⑥ はたまた浜辺はしりとりかえるはたりてます

⑦ が、ざくろまみれみとれてひとりなロマンネリだ

⑧ 春をおまつりおまけはかすみかおつり借りる


叶裕

⑨ 祭髪追いかけて吉原

⑩ くちびるはさみしいかたち

⑪ さらばえてあぢさゐ

⑫ 咳もう直ぐいのちへと届く


きゃさりん

⑬ 廃校の五月のプール映る鯉

⑭ 春なんてないと呟く幼女子

⑮ 手をはなす暮れ際の道白つつじ

⑯ 皐月空フルスクリーンにつばめ舞う


大川崇譜

⑰ 青すぎて目薬さすね、山が

⑱ 男くだる摩擦の低い坂の茶屋にて

⑲ 軽石は夏待つ湯舟のほとり

⑳ 始めて休みまたポケットからだしてみて


草の耳彦

㉑ 霜止みて苗いずる遠くに有りていの土ぼこり

㉒ 雷音に牡丹はなさく昇降機

㉓ 目を瞑ってカワズハジメテナクをきく

㉔ 街で見ず蚯蚓いずる水入らず


鈴木雀

㉕ 乗り込んで薄ぼんやりと連帯する煙たち

㉖ じっとりとした笑みに金魚の背後霊

㉗ ふとましい鉄塔の根元に住み着く

㉘ ここに居ても居なくても閉架書庫


石川聡

㉙ 初夏を剥くさいごの蜜柑

㉚ みなみから眉間よせくる黒雲

㉛ 茶柱あまく混じる リ、ズ、ム、

㉜ く、ずれ、お、ち、てく脊椎に、爆心地


SZNKnet

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