暗渠（けいえむ）
①
今日の空碧を多めにパレットタウン
②
関係者以外立入禁止、海は案外閉鎖的
③
ゴミと芒と標識はフジテレビ裏
④
噴水にふて腐れてる冬トンボ
石原とつき
⑤
仮称ジャンヌダルクの案山子の八つ当り
⑥
(前略)骨折して一人称を変えました
⑦
隕石群が仲間はずれがなまこをはずかしい
⑧
なまぐさい楓のからの楓のなまぐさいしなさい
草野耳彦
⑨
古いケア烏賊天神の目はひとつ
⑩
霧が鳴るこれはペンです湯豆腐の
⑪
橋の下ははが望んだ子は一人
⑫
入眠の手続き雨は止んでいる
大川崇譜
⑬
傘たたむ虹のなかは外よりあかるい
⑭
うそは青々芽接ぎもみの木
⑮
イはいぶりがっこ単身赴任手当断った
⑯
りんごの肉付きを確認してください
叶裕
⑰
咳・バールのようなもの握りつ
⑱
バレンシアガ長葱を尖らせ
⑲
竹拾ふ立枯れ薊弔ふるため
⑳
職人の義手切削屑を光らせ
平安まだら
㉑
絵文字のようなピザを食べる絵文字の顔で
㉒
丸刈りの男子を撫でる側になれない
㉓
晩夏光ラバーソールで踏み抜く中野
㉔
カステラで吸えそうな水たまりを跨ぐ
小早川すすむ
㉕
ギリ読めない文字として落ちている枯葉
㉖
めがねの許容量いっぱいだ白い朝
㉗
活字を脱ぎ捨てた子ら踊る
㉘
ドミノピザで区切った半半きょうとあす
岩渕幸弘
㉙
√ゾンビで一句。@ホルマリン貨車
㉚
この雨誰の子知らない言葉狩り
㉛
目からセカイ溢れ落ちとる。心電図
㉜
Ｑ「 」Ａ神話。
木野清瀬
㉝
幸せを疑う為の美術展
㉞
孔雀の家に拭かれることのない鏡
㉟
石榴とお針子の血豆数へて十二月八日
㊱
下々のプリンは自立憂国忌
蔭一郎
㊲
卒塔婆ばかりで話がまとまらない
㊳
「いらっしゃいませ」落下
㊴
めくるたび枯野に集まってきます
㊵
わたしの関節すべてに種を植える
石川聡
㊶
焼芋屋も焼き芋も笑っている塾のまえ
㊷
どうしてを暖房なのにダメなの？
㊸
足もとの奈落も隠している膝毛布
㊹
厚着はたまねぎ夢の芯ほたほた
おのぎのあ
㊺
人間をやめたい夜を着る
㊻
充電器の赤が泳ぐ夜の底
㊼
赤くなる心なら膝にある
㊽
心ひっぱって火花
さいとうこう
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