SZNK JAN. 別邸












石原とつき





池の主を女子高生に問いただす







謎解きの前に謎のない日の入り







音叉と砂浜で立つ







オルガンの場所があった春の空家




けいえむ





メルカリで会費捻出初句会







冬障子開けて突き刺す秘密かな







両親に見せてなかったセミヌード







鏡割読まれることの無い聖書




木野清瀬





マッチ棒たてたてよこよこ眠れない







わたしへの合図はセミコロンにして;







最終兵器フジコ・ヘミング







雪女センチメンタルまだ有り〼








※〼は環境依存なので、印刷時は他の文字と同じ色にできます。


高梅仁





実用にささくれ立つや実家の縁







寡婦は行く音叉咥えてマンハッタン







板わさと諸胡に騙されて成人式







颯と上がる行司の右手東風の吹く




叶裕





おとうとの蛹を焚べている







檸檬萎びて断面は肉色だろう







縊《くび》れば椿







こんなにもせまいものか







※《くび》はルビですがブログ上、ルビができないので簡易表記です。


平安まだら





ラーメンの殴打 透明な鼻血







触った人の五割が人の汁と回答







待っているブラジルまで染み込む日







わたしの血に還る雨粒のどれかは







※空けは全角です。


大川崇譜





手首の輪ゴムの深さばあさんの栄養







築地いまだ市場にあわせルーティン







入国手続パスした腰つき初顔のねこ







ぴょんぴょんいぬもたいおんはかるくやくしょ




おのぎのあ





空虚空虚空欄のまま捨てる







空気銃みたいだ君のサヨナラ







ベンチにうずくまる人の髪に絡まる冬







大根透き通っていく素直な目で見る




来栖啓斗





訳あって化粧品のまえ







であれば世界中敵であれば







寝不足をもって自分を許す







手に取れば小さい石である




ちんぴら





新年明けまして扇シンメトリー







冬の森こんもり鳶うらら







東京湾冬が南へ抜けていく







おむすびセロハン相変わらずだな




石川聡





準特急で解りたい







しつれん雪室で甘くなる







耳ふさぎうるさいしおさい







大寒いちばん重く生る隣のレモン







岩渕幸弘





句読点にも、隠れたコロナ







雲に神様はいないマスク着けろよと目が







死ぬも死なぬも一文字うんこ出ぬ







天に指いっぽん鼻くそ




大迫秀雪





デジタルでは録れない心根を歌う







亡母バースデーぢもぉんと朝日になった




51




ひゅうぷひゅうぷそれはベトナムの歌ですか




52




初恋は冬の太陽それも夕焼け犬を連れて









さいとうこう


53




淡水魚サヨウナラってあぶくです




54




なんで日は沈むいつもの女いつもの路地に立ち




55




空ひたむきに青く鍵っ子今日は誕生日




56




結露ぬぐい春想う勝手









若木はるか


57




雪昏くオレンジの街灯のあたりだけゆっくりだ




58




どこまでも手をのばす雪枝のつかみたいもの




59




下へ向かうとも翼ひらく飛翔である




60




ふんわり春を待つ空の巣は雪帽子








SZNKnet

サザンカネット句会のメンバー内ブログです。 DMはTwitterの@genuinegohanteiまで。

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