けいえむ(暗渠)
①
白くかさつく 盆 盆 盆
②
つるしのスーツに恋したとんぼ
③
パタラッタわたしもいつかおじいさん
④
首都高でゆんわり空を切りとって
※一句めのスペースは全角にしました。
木野清瀬
⑤
ホテル古城 バスタブ猫脚 雨の音
⑥
ボンゴを描いて叱られたようちえん
⑦
くちびる噛んでいつまで紅い
⑧
桃のショートケーキ選んだ父が灼けてゐる
※一句めのスペースは全角にしました。
平安まだら(カズマンヌ)
⑨
ツナパスタアキレス腱一束分の夏
⑩
体操隊形八分咲きの終戦忌
⑪
ティひとつ枯れても足りるアイデンティティ
⑫
かたくりこあびて浴びたい熱い雨
叶裕
⑬
歸去來兮歌舞伎町暁月夜
《かへりなんいざかぶきちょうあかときづくよ》
⑭
猫ねむりをりたれてをり
⑮
少し病んで河原にひとり
⑯
トム・ヨークの左眼に繋がる
※《》内はルビ
大川崇譜
⑰
両手で水を飲み確実はなにもない
⑱
Desperate酷暑は踏んでいない韻
⑲
ちいさな匙と写真よりおいしいかき氷
⑳
風は相対みずから起こす
石川聡
㉑
蚊取り線香をあるきつづける地獄の暑
㉒
胸の奥の錆び付いちゃってる震度計
㉓
スコ―ル欲しい影の無い小石ける
㉔
挟まったまま亡父の指
さいとうこう
㉕
おばあさんひとり亀有メロンソーダ
㉖
妻のマグカップ洗う夏の風が裏返る
㉗
「洋食屋の向かいだ」と水撒く水の向き
㉘
父が小さく笑う夏の温度が低い(父入院)
大迫秀雪
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