けいえむ
①
あなたに見せたい空を往く雲
②
６パーセントのアルコールに揺らぐ夢とか
③
ここは地の果て海の始まり
④
自分が重い日曜の夜
石原とつき
⑤
うたがわれるように石を拾う
⑥
カレーパンのパンと嘘をつく
⑦
いちじくぐるみでだまされる
⑧
弟に塗る色がない
木野響子
⑨
紫陽花とサバトラ猫と雨をんな六月の強い者順
⑩
笊にあげた空豆が置き手紙のように
⑪
歯医者のあとのクリームソーダ人生儘ならず
⑫
星の子になれないわたしの星めぐり
叶裕
⑬
悲鳴色した絵の具をまぜる
⑭
高いところに皮
⑮
さみしいか月の紅いところも
⑯
愚兄と紹介されて無敵
カズマ
⑰
初デートのからあげは奇数
⑱
ください投げキッスのイップス休暇
⑲
おやすみ野菜室の底くたびれたニラのように
⑳
間違って出したライフみたいなリンス
さいとうこう
㉑
大洋軒に沈む夕
㉒
川がググッと曲がるとこ
㉓
悪い家にふくらむ紫陽花
㉔
平たい石だけ集める子
大川崇譜
㉕
あしたの妖精ふるいにかける
㉖
あついねえ月のほほえむストロベリー
㉗
我慢はレーコーのちびりちびり
㉘
北はいまごろどうだろうご機嫌なはまなす
岩渕幸弘
㉙
ハイブリッドでしかない種一粒の我握る星
㉚
マスクのうらため息のひみつきち
㉛
ぐびり、青空に負けなし
㉜
その皺に立つ岐路のひとしずく
小笠原玉虫
㉝
母のない子がいぬ撫でにくる夕暮れ
㉞
よそんちのピアノに泣いて日曜が終わってしまう
㉟
ものもらいかばって右頬に雨
㊱
いぬにたくさんついてる草の実
若木はるか
㊲
なんにもできないわたし夕焼けに溶かす
㊳
モノクロームの記憶たどる静かな午後
㊴
胡桃花房ほろり落ちもうどこへも行かない
㊵
空につながった俺の糸を引く
石川聡
㊶
風からり肺を洗う
㊷
.com電車夏吐き出す
㊸
もううめいろづきはんとし
㊹
ぬるま湯に戻りたいもう二度と
大迫秀雪
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