10/17 18：45～
石川 聡
冬をぎゅっとベルトを
体温計ポッキー折れ太陽系
死んじまった季語燃やせば虹の音
ちぎった葉っぱに沁み哀しみドレッシング
島田 菜々子
変な服着た犬が吠えている
街灯の下で待ちぼうけの椿
ダイニングチェア空席 空席 空席
イヤホンの優しい部分を失くし冬
失敗した方の目玉焼きを食べる
慣れないパンケーキ屋ずかずかと歩く
ハル
三千世界もこたつの形は同じだろう
こだまにならない声出しあって山下る
冬椿犬が咥え去る
枯木立夜が余白に流れ込む
帰依不帰依友達がたくさんいるので地獄行く
触れれば冬
けいえむ
あまおと、しずか
苦労なくとも白髪は生える
恋をするには暖かすぎる
向かい風に乗り舞い上がる
見上げてはるかオリオン座
ごん
灰になる踊り明かしのドアの外
くつひもを結んだアタマにトリのフン
札幌は夏でもオッケー、トウキョウ
あきがきたさくらみるかいふゆかいなつ
赤マルに白線イッポンいきどまり
伸び縮み追いかけてくるよ有刺鉄線
梶原由紀
数人ならび風いだく間隔
曇りは電線がつよい
踏まれない栗のうつろ
川騒ぐ夜を渡る
蔦真っ赤な二階のてまえ
小早川すすむ
満月でもまだ足りない
爪を切る伸びた分だけの未来
言いなりのつまみ旅の角打
ひだまり汚す音を出す
隠した口元きっと三日月
こう
情熱を問う何も産まない味玉子
仰向けの君もあくびして
いま思えば太陽もんでいた老女
雨あがり車輪紅くなる車椅子
招き猫胸の小判に秋の虫
笠原マヒト
落ち葉転がる工事中
どんぐり踏まれ土に埋まる
ギンナン枯れ枝滑り台
車輪の音街をきざむ
カズマンヌ
もう１室灯ればマンションのビンゴ
裸眼になれば月が近い
ドッヂボール顔に当たった味がする
おどろく準備が整ってドアをあける
リセットボタンに爪楊枝の刺され痕
靴の中の小石を助ける
来栖啓斗
眠れない少年が時計を狂わす
灰色で足りてしまった自画像
月が失踪して話題にもならない
私を抱えて猫背であった
返事来るように書く手紙
発掘されたわたしへ艶やかな指先
大川崇譜
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