平林吉明
① 冬晴れの朝ゴミに思われる
② スミマセン以下省略
③ 西日いつも隣にいてくれる
④ 光る河を渡ってしまう女の横に犬
平安まだら
⑤ 木漏れ日が顔にかかってかゆいだろ
⑥ と、言われほんとに帰る蟻が好き
⑦ じゃがりこにカラーボールの流れ弾
⑧ おっきいね、主語。おっきいね、オニヤンマ
白石ポピー
⑨ ごめんね食事中に笛を吹いたりして
⑩ 落ち葉のまばたきに背く
⑪ あの時撃ち落としていただいたかもめです
⑫ 針葉樹林に雪ミルを挽く
叶裕
⑬ 耳の底に凍湖
⑭ 渋谷枯る抱き上げた子の高さにも
⑮ 聴きじゃくる桂銀淑《ケイウンスク》のエモければ
⑯ 回転寿司ひたすら贄の来るを待つ
大川崇譜
⑰ カーテン洗う仮のすまいに根を張って
⑱ ハイターつけた桶はシロの被害者
⑲ 中華街縦横縦縦さっきの犬だ
⑳ 蓋ついたラテ冬の直径を掴み
草の耳彦
㉑ 冬、快。
㉒ 処方、せん。
㉓ 雨、傘鳴る。
㉔ 汗かいて、はた、らく。
石川聡
㉕ ちちもははもわたしの墓もすぐに化石
㉖ 傷を溢れ水の化石は海を指す
㉗ あさっての想い出とすり替える
㉘ ぼくも句も少し曲がってしまう時雨坂
おのぎのあ
㉙ 花花花の別れが鳴る
㉚ 振り続ける右手に霧雨
㉛ 「まだ若いから」舐め回すまだ
㉜ 空の車椅子に冬の匂い
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