空けがあった場合は一文字ぶんをあけています。
暗渠
① 朗らかにボニファス先生放屁せり
② また今日も海岸道路白衣で散歩
③ 濃紺の大西洋に鯵を釣り
④ 跛行する番長の苦渋
柴原色正
⑤ 狼は群れで生きても孤独遠吠える
⑥ シマウマ弁当売り切れライオンのひもじい
⑦ のど越したしかめたしかめたしかめたしかめキリン
⑧ 大寒に〇印つけにやり雪女
平林吉明
⑨ 生きながらえた指名手配の顔写真
⑩ こうなることはわかりきっていた
⑪ 満月や未明のコインランドリー
⑫ 醤油拉麺支那竹的叙情詩
石原とつき
⑬ 初々しいフランスパンのところどころのそれぞれを復讐
⑭ すったもんだに翼竜に無人駅に「似たり寄ったりね」
⑮ あらゆる鮎がたまたま煙草がまず重力の幸い
⑯ 紅茶系アナグラムで曲線で詰まった身も蓋もない部首
大川崇譜
⑰ 娘としての皿の小さい減塩しょうゆ
⑱ 来週梅は咲く白票多数決
⑲ 法よ屋根よ雪は汚れてく
⑳ ゆっくり役立ちたい竹炭のそうであるように
榎本祥子
㉑ 白梅の煌めき 陽のあたるオリオン座
㉒ まどろみてきらり 揺れる滴に春近し
㉓ 尖塔や まだ見ぬ旅路に思いを馳せる
㉔ 青空に粉塵 再生の華麗さ
木野清瀬
㉕ 悲しかった映画の果てのポテト腹
㉖ 夜と朝にだけあるキリトリ線
㉗ じゅげむじゅげむ陰膳の水
㉘ これくらいで天秤座でこれくらい
叶裕
㉙ 人間に二〇六ある骨の音
㉚ 薄明光骨脆くなる
㉛ 義眼は骨か
㉜ 肋から出られぬ
秋月祐一
㉝ 鷽替の闇に手渡されるもの
㉞ だらだら坂の読点のごと臘梅
㉟ くるりらり、とつんのめつてるつ、つ、つむじ風
㊱ ぽこぽこぽフィリップ・グラスのぽこ楽聴けば
石川聡
㊲ 都心雪泥 沈丁の花芽いまにも
㊳ 冬の河痩せつづけるボクの居ばしょ
㊴ 売れ残り龍のボトル睨みきかす酒売り場
㊵ はるきゃべつやわらかなあなたのきづかい
来栖啓斗
㊶ 木が切られたら気がつく
㊷ 昨日あった辺りに雲がない
㊸ 散歩する人として会釈する
㊹ 電車の中で夢から覚めて現実を味わう
田中耕司
㊺ アロエの三角帽子が春をつつき始めた
㊻ 養護施設の庭の枝垂れの紅梅
㊼ 菜の花カタバミ春が黄色
㊽ 八つ手のうすーい緑には肥後守
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