2024 2月句会 福は内

空けがあった場合は一文字ぶんをあけています。


暗渠

① 朗らかにボニファス先生放屁せり

② また今日も海岸道路白衣で散歩

③ 濃紺の大西洋に鯵を釣り

④ 跛行する番長の苦渋


柴原色正

⑤ 狼は群れで生きても孤独遠吠える

⑥ シマウマ弁当売り切れライオンのひもじい

⑦ のど越したしかめたしかめたしかめたしかめキリン

⑧ 大寒に〇印つけにやり雪女


平林吉明

⑨ 生きながらえた指名手配の顔写真

⑩ こうなることはわかりきっていた

⑪ 満月や未明のコインランドリー

⑫ 醤油拉麺支那竹的叙情詩 


石原とつき

⑬ 初々しいフランスパンのところどころのそれぞれを復讐

⑭ すったもんだに翼竜に無人駅に「似たり寄ったりね」

⑮ あらゆる鮎がたまたま煙草がまず重力の幸い

⑯ 紅茶系アナグラムで曲線で詰まった身も蓋もない部首


大川崇譜

⑰ 娘としての皿の小さい減塩しょうゆ

⑱ 来週梅は咲く白票多数決

⑲ 法よ屋根よ雪は汚れてく

⑳ ゆっくり役立ちたい竹炭のそうであるように


榎本祥子

㉑ 白梅の煌めき 陽のあたるオリオン座

㉒ まどろみてきらり 揺れる滴に春近し

㉓ 尖塔や まだ見ぬ旅路に思いを馳せる

㉔ 青空に粉塵 再生の華麗さ


木野清瀬

㉕ 悲しかった映画の果てのポテト腹

㉖ 夜と朝にだけあるキリトリ線

㉗ じゅげむじゅげむ陰膳の水

㉘ これくらいで天秤座でこれくらい


叶裕

㉙ 人間に二〇六ある骨の音

㉚ 薄明光骨脆くなる

㉛ 義眼は骨か

㉜ 肋から出られぬ


秋月祐一

㉝ 鷽替の闇に手渡されるもの

㉞ だらだら坂の読点のごと臘梅

㉟ くるりらり、とつんのめつてるつ、つ、つむじ風

㊱ ぽこぽこぽフィリップ・グラスのぽこ楽聴けば


石川聡

㊲ 都心雪泥 沈丁の花芽いまにも

㊳ 冬の河痩せつづけるボクの居ばしょ

㊴ 売れ残り龍のボトル睨みきかす酒売り場

㊵ はるきゃべつやわらかなあなたのきづかい


来栖啓斗

㊶ 木が切られたら気がつく

㊷ 昨日あった辺りに雲がない

㊸ 散歩する人として会釈する

㊹ 電車の中で夢から覚めて現実を味わう


田中耕司

㊺ アロエの三角帽子が春をつつき始めた

㊻ 養護施設の庭の枝垂れの紅梅

㊼ 菜の花カタバミ春が黄色

㊽ 八つ手のうすーい緑には肥後守

SZNKnet

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