5月句会 文学フリマ東京38当日

佐川智英実

① 新しい靴をおろす夏の朝

② 買ったはず茗荷の物忘れ

③ 夢に見た少納言の耳にはピアス

④ これからも続く世界の公衆電話の最終尾


叶裕

⑤ る、るるるるる〈笹舟〉くるん

⑥ 死に場所に四葩

⑦ 赤血球沈降速度栗の花

⑧ 薔薇色のうがい薬のよく溶けて


石原とつき

⑨ ちちんぷいぷいアスパラガスなもっとより具体的を

⑩ あらゆる虚数にお花畑をおねしょ

⑪ 陸橋さえ五右衛門風呂の責任のない見込み

⑫ (念力に飽きちゃった…)氷山の一角ケ・セラ・セラ


暗渠

⑬ ポピーポピーポピーポピー絨毯爆撃

⑭ えっ、おまえ昼顔にこくったの?

⑮ 死の灰浴びてもがく龍

⑯ あんた呑気でハコネウツギだね


榎本祥子

⑰ 幾億の粒に侵食されるカラダ音もなく

⑱ 流転する二千円札と共に

⑲ 春の風まとわりつく至福

⑳ 奏でる新緑のハーモニーイヤリングの記憶


大川崇譜

㉑ 散らかさなかったかのよう花水木

㉒ 隣のお互いさまのドクダミ引っ張る

㉓ 音追いピストル昭和飛び立つ

㉔ 海より塩辛い円の中の男たちの脚よ


木野清瀬

㉕ 嘘つきの舌に白玉一つ置く

㉖ 日日草猫たちは自由恋愛

㉗ 夜の雨しづかに豹となるバナナ

㉘ 燕の巣撤去され東京の暮色


来栖啓斗

㉙ 僕の夜の換気扇の音か

㉚ 明け急ぐ草原を突っ切っていく

㉛ 眠れないままの朝の写真を撮る

㉜ お互いに笑って故人の生前の話だとは分かっている


田中耕司

㉝ ボタンの木のあの赤いので風呂でも磨こうか

㉞ 少し濃いヒルガオの無愛想なピンクにうなずく

㉟ ビンボウグサなんてかわいそうだなヒメジオン

㊱ あっと言う間だ十薬のいきおいにゃかなわねえ


若木はるか

㊲ 雪柳やさしさこぼれてゆくばかり

㊳ ことば焼けてしまった月山夕暮れ  

㊴ かすかな青を探してしまうブルーベリーの花のなか

㊵ 風が吹くだろう新しい言葉たち旅立ってゆく


石川聡

㊶ スズランからHDのモーター音

㊷ 失望の霧笛とおく近くカーブ湾岸

㊸ 雨あがり田吾作鮨の鉢のメダカの元気

㊹ 文庫本つりかわ江戸川橋じゃ誰も降りない


~~~公開後追記㊺~㊽です~~~


柴原色正

㊺ 黒子の毛恐縮している乳首の毛恥じらっている

㊻ つるりと仏門に入る全身脱毛メンズ  

㊼ 鳥皮の毛残ってる、もう

㊽ 髪はUPにしろと云っただろヒッチコックが



SZNKnet

サザンカネット句会のメンバー内ブログです。 DMはTwitterの@genuinegohanteiまで。

0コメント

  • 1000 / 1000