きゃさりん
① 引き返す一粒の雨を感じたならば
② バラのコサージュ裏切ってしまえ五月
③ 独和辞書女のチェキは去年のページ
④ 待ち合わせ場所を忘れたさざなみの夜
暗渠
⑤ ちりちりぶるるるずどん
⑥ きゃーきゃーとわっはっはっ
⑦ たかちゅくたかちゅくぶーんぶーん
⑧ うぇんだわーきんでーーずだんおぅがぅー
平林吉明
⑨ 亡骸はポストに入れておきました
⑩ 生き延びる余熱それぞれの秘密
⑪ 成行きの夜のさかな逃げ遅れ
⑫ しらないひしらないしひとり
石原とつき
⑬ 内ポケットは膨張はあらあらしい4月に夕刊に切り抜きに31日
⑭ かごめのがらくたを姉弟「芸が無いわね」うがいを続き
⑮ プルートNo.√π(名)①青銅器な香水②花言葉に「歯ぎしり」
⑯ 春を覚えろ鮫の解剖室の鹿威しかっこんカミングスーーン!
おのぎのあ
⑰ 君の名で汚す封筒の白
⑱ 燃やせもしないゴミ感受性
⑲ 「練習だね」新生児落屑を撫でる
⑳ 感謝こぼれる27時
木野清瀬
㉑ 囀に赦す老父の既読スルー
㉒ 春雷にチワワでごめんなさいと哭く
㉓ 浅蜊砂吐く夜の谷川俊太郎
㉔ 桜蕊降る早世のおばかさん
うたたね凛
㉕ しばきたい人いて500グラムのペンライト
㉖ 二代目もやさしい請求だ荒木医院
㉗ 他院でも話題になるほど荒木医院
㉘ 雅子さまーっ叫んでしまったご奉迎
大川崇譜
㉙ 落ちた花びらだけでも目黒川
㉚ 油風 東京ガスに休止を告げる
㉛ もれなくダブりなく次の季節のしみていく
㉜ 空をつつく公共のモクレン
白石ポピー
㉝ 鈍曜日の霧雨
㉞ 片手袋は陽にひらく
㉟ 水の降る星ねむたい通話
㊱ お前らほんと意味ばっかりだな
若木はるか
㊲ 辛夷こぶし春が口あけた
㊳ 花に降る四月の雪の純度
㊴ 冷たい雨さくら凛と受けとめる
㊵ 何があっても咲くんだ 桜の意地
来栖啓斗
㊶ つちふるを美しい人が見ている
㊷ 春めいて手のひらをうえに向ける雨
㊸ 春雨のあとの空が明るい一日だった
㊹ 人の生活がある傷口のような窓を覗く
榎本祥子
㊺ 戦火の星たちよ、ミロの命毛にのって
㊻ 唇に波動カメリアの誘惑
㊼ 尾びれより泡立つ春やはらかく
㊽ だんだんと居場所になる
草の耳彦
㊾ 四月十八日、二月十五日の半券アジフライ二枚定食捨てられない
㊿ 指図せよ浮く吊るす
51 摘便の匂いケミカルにんげんってなんだろ
52 立ちツテと踏む売るぬ
田中耕司
53 タンポポが咲くころピカピカランドセル
54 イヌフグリってネモフィラを兄貴って言ってるらしい
55 ハナカイドウの色ってホント癒し系
56 赤い八重の桜が少し遅れてまんかい
石川聡
57 屑が最期に放つ屑色の光
58 ここじゃいつでも悪意も花吹雪
59 吊り革の輪の中なんだか春なら結界
60 ゆでぶたの「でぶ」にたっぷりディジョンマスタード
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