佐川智英実
① 校歌のように流れる川
② 握手で知ったわたしのかたち
③ 別れ話に後ろの金魚が大きすぎる
④ 空に抱かれて石に眠る
石原とつき
⑤ 夜のへたならなすびよりなまず
⑥ 口<回<品<田<唱「敵の多いこと。ご苦労さま」
⑦ 複眼を増やしてみたの、えっへん!
⑧ 分け入っても墓にしてもスルメの一枚の裏に
うたたね凛
⑨ 95歳ワーカー玉置泰子さんメトロにいる (玉置泰子=たまきやすこ)
⑩ 振り向くときから笑顔タレント玉置さん95歳
⑪ 万博のドヤ顔きえて闘病の夏
⑫ 上の者こき使って病床の夏
草の耳彦
⑬ Y湯への行きし道
⑭ 戯れに影に踏まれて鬼となる
⑮ らりるれろ、へべれけね
⑯ いつおわる山型波形の空ながめ
きゃさりん
⑰ 飲み干してライ麦畑でつかまえて
⑱ 老いてなお彼女でいたい妻は嫌
⑲ 枯れ色に染まるネオンのナイトカフェ
⑳ 路地裏の夏の夕暮れシベリウス
大川崇譜
㉑ 蓮の斜向かいのババヘラは溶けながら
㉒ ミミズ踏みかね佐竹の城の松の濃度
㉓ 名もない嶌絡む夏に言いたいことがある
㉔ 失敗よりりんごを数え美人山
若木はるか
㉕ 列島熱帯と化す凌霄花灼々たり
㉖ 合歓たちいっせいに瞬く角を曲がる
㉗ どこまで行ってもみどりの田みどりの山(秋田行)
㉘ 片付けきれない人生ぎゅっと詰まっていた
白石ポピー
㉙ 海水をはじめて飲んで嬉しそうに吐き出している
㉚ 額縁のなか休む犬
㉛ 毛羽立つ季節にあなたがいたい
㉜ 雀色時(いろいろかんがえさせられました)の森を焼く
おのぎのあ
㉝ 顔から枯れていく紫陽花も
㉞ トラウマを太らせる白い雨
㉟ 飛び込んだまま戻らない夏
㊱ 一斉に咲く日傘あかるいほうへ
田中耕司
㊲ ニオイバンマツリの針植えの青い花が全部白になった
㊳ アサガオの鉢植えどうぞお持ちくださいだって太っ腹
㊴ ルリマツリのあの青からのがれげられないそんな気持ち
㊵ ホジョリン無しで自転車に乗りたいです七夕さんも大変だよ
石川聡
㊶ エアプラント枯れちゃったエアコンモード「しずか」
㊷ 鬼百合つぼみぐんぐんエノコロも
㊸ 炎昼ごと気力を飲み込む草いきれ
㊹ 帰り土砂降りセロリ雨樋
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