きゃさりん
① ゼミ帰りベスパのデッキに迷い猫
② その傷は誰もが触れぬまた八月
③ 行く夏やクレパスの白消えて行く
④ 浴衣干し風鈴仕舞うまだ暑いけど
石原とつき
⑤ 無色無音なロールキャベツは誤字に島流し
⑥ リズムにのった暖簾をわけるむしくだし
⑦ ふるさとはふらんすふやけてふらんにさんらん
⑧ (トウモロコシの本質は⋯)「ところで趣味は?」「はい!お他人事です!」
榎本祥子
⑨ 切れば血の出るような緑、発光す
⑩ 波の綾ほどく指先に触れ
⑪ ひとひらひとひらと涙
⑫ むせかえるほどブルーの残像
田中耕司
⑬ 白いサルスベリのグランドに高校野球の大きな声
⑭ キョウチクトウの赤い花と白い花一号線まっつぐ
⑮ モクゲの白い花みた八重もあるんだぜ
⑯ フジの花待つ気持ち今日も真夏日
大川崇譜
⑰ 濃いめのカルピスわたしだけ夏休みカララン
⑱ 南西からヘクソカズラ向かうぞ約束の地
⑲ カフェの冷風角席夏ゲーム
⑳ キュウリまっすぐのおかえり
石川聡
㉑ 指を洗い続けて 骨
㉒ こんなときに限って発火するスマホ
㉓ 失格が っかっかっかっかく落ちてくる
㉔ ことばが黄線なもんでちょっと手前に立っとく
若木はるか
㉕ カナカナのタイミングで晩ごはんのしたく
㉖ 嵐のあとひときわ大きな声で蜩
㉗ 夏こぼれゆく痛みよ百日紅ほろろ
㉘ くりかえしははのとういくつになった
叶裕
㉙ 敗戦日海を見ていた大臼歯
㉚ 百日紅には感謝しかねえこの暑さ
㉛ カマキリがじっと見てやがんだよ朝帰りによ
㉜ 木彫の猫がなん度も念を押す
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