平林吉明
①
パソコン混乱無知鬱夜の果て
②
白いシーツ白い枕の白日夢
③
叔母の死に目に薫るニオイバンマツリ
④
眠れぬ夜の小雨に深い川渡る
草の耳彦
⑤
名無しの紙片を星に透かして見る
⑥
隠者には節制を
⑦
月の呼びかけに教皇は
⑧
恋人は大道芸人の目を盗んで
田中耕司
⑨
公園の隅っこシャガの花ひとかたまり
⑩
サツキの天下は短かったな一号線
⑪
夏帽に入れ替えた黄金週間って言っとこう
⑫
小学生にあいさつされてドギマギ子供の日
大川崇譜
⑬
5月の雨 中学生 スネア 民話を覚えている
⑭
サンキューがべらぼうソイラテを待つあいだ
⑮
梅雨の柄《え》をノーノーまわしてくれないと
⑯
簡単なお仕事です無縁なひとびとの心配をする
小早川すすむ
⑰
君のそばかす春に画竜点睛
⑱
全外階段に等しく五月の足
⑲
人死んで数字にして分ける
⑳
深夜2時焼き尽くすツツジ
叶裕
㉑
雛罌粟きつと墓標だろう
㉒
自由ゆえ不自由なぼくらの解放区どこ
㉓
屈して朝日褪せている
㉔
腹裂いて幸福論を詰めて縫う
石川聡
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