平林吉明
① 冷蔵庫に半熟卵の幽かな心音
② 手話の貌疲れはててフリージャズ
③ えいえんのゆうぐれにいたい
④ 並んで座っているだけの二人
草の耳彦
⑤ サイコロなな目ツキのさばく
⑥ 転がらずに跳ぶ浮かれ山水
⑦ やすらぎ空気椅子トキメキの座標
⑧ いまここはどこにもない
叶裕
⑨ 血の味が月
⑩ こんなにも腹が冷たい
⑪ 四分音符給水塔に来てとまる
⑫ 舟燃えて骨透き通る妻を煮る
石川聡
⑬ 鳥の浮く気絶した池
⑭ 蛍火がかく筆記体のdarkness
⑮ 偏食のアジサイの描く飴ざいく
⑯ ゴッホの耳 チリ取りにある静物
大川崇譜
⑰ 諏訪に電話かけた影のいちばん短い日
⑱ 遅い朝の肉のいっちょうら
⑲ タオルケットの跡に詰めよ夏
⑳ どーんと一歩だひるさがりかせぐ
0コメント