草の耳彦
①
恋人たちは節操忘れて神の家
②
魔術師の逆審判に女帝のけぞる
③
女教皇は愚か者の転倒を皇帝に伝える
④
死神に吊られた男さかさまの世界
佐川智英実
⑤
直角な僕たちは座高測定してました
⑥
蘊蓄もよく噛んで蕎麦は更科
⑦
ホイール光る流れ作業の陳さんは優しい
⑧
驚きやすく戻る巻尺
平林吉明
⑨
空にたなびく言葉ってええなぁ
⑩
ひな祭り空飛ぶむすめの帰らぬ夕餉
⑪
踏切に人の立ち入り春停止
⑫
フライパン憎悪するベーコンエッグ
来栖啓斗
⑬
皮膚などに春の雨
⑭
願いを込めて手を洗う
⑮
無理に笑っても楽しい
⑯
更地になっていて思い出せない
小早川すすむ
⑰
温める別の誰かに変わるまで
⑱
古紙回収つぎこそ恋の歌書かれたく
⑲
ぬかるみから見上げる世界もまた詰んでいる
⑳
沈みゆく船室の壁にも春の歌
大川崇譜
㉑
スプリングハズ押す
㉒
助けたい国があるこの部屋の遠く
㉓
簡易包装の春 宅配ボックスの鍵
㉔
わたしにとってクワイなのごめんなさい
石川聡
0コメント