SZNK十一月

①

同棲やめた洗濯機のうら死んだ靴下

②

物干し竿おろす家も想い出も売ります

③

冷えきった弁当ぬくめる炬燵のチン

④

いつか極楽浸かりたい青汁一杯

⑤

羽重そうにジャンボ機がゆく

⑥

社長親征地方CM

⑦

水道管錆びて博物となりぬ

⑧

童心ってもこんなにハイテク

⑨

nightにrightをtightにwrite

⑩

意外におしゃべり夜の雲

⑪

恋人たちの背中にうねる光なみ

⑫

川沿いの２ＤＫで煮込むカレー

⑬

海のもの山のものきみの中で一つ

⑭

おいで鬼の子何しても悲しい夜

⑮

ちゃちゃちゃケチャップライス

⑯

小夜時雨廓の噺

⑰

まつ毛にも日脚

⑱

足裏いちめんに葛飾の枯野

⑲

孤島のやうな焚火をまもる

⑳

磔刑餌にやけを余すばかりなり

㉑

張り替えましたロイター板の踏み絵

㉒

アイヒマンテストの帰り道に栗

㉓

隕石のおもかげドラゴンフルーツ

㉔

ストロベリー多多多多多量のゲジュタルト

㉕

玄関転がる螳螂

㉖

歩くと落ち葉割れ

㉗

川も灰色鴨泳ぐ

㉘

出たときに月はなく

㉙

夕陽と熟れすぎの柿もずはハズレ引く

㉚

恐竜たちはよく食べ渋谷を変えている

㉛

醤油を切らす　鍋といえばとんこつだ

㉜

マイナスな雲だ勝利宣言は先にする

㉝

壁の蔦みんな罪カラフルな

㉞

よぎるトラウマ夜霧ヨシキリザメ

㉟

パーシャルショットGINGIN金星が刺さる

㊱

スノーマーチひかる品種で歯に刻むポテチ紀

㊲

帝都環状線ifとみる流動体

㊳

幸も不幸も狭まる道幅

㊴

柿の実まっすぐおちる霊柩車

㊵

下町高層ビルディング水彩画家の老眼鏡

㊶

全身映る鏡に映している

㊷

雲の流れる証拠がある

㊸

前を見るまで待たれていた

㊹

溝を見ていたどうでも良くなった