SZNK　7月

石川聡

①　たくさん託卵でる乗っ鳥屋

②　溶けきったカップアイス守れなかった約束

③　指紋掌紋こころに紋あれば煩悶

④　傷ついた視線なら優しい音楽

叶裕

⑤　膿みながら翅

⑥　ごめんエラ呼吸してた

⑦　鳥葬やけふ三度目の手を洗へ

⑧　鍵っ子の影長くして小鬼めく

大川崇譜

⑨　願い七いろ束にして地上におりました

⑩　季節ちがいの煮物ほおばる灰かぶり

⑪　あまのがわ夏は足りている

⑫　役に立っているかしばらく献血はできない

篠原紀子

⑬　反った親指の銀のスプーン

⑭　梅雨寒かたく膝とじている

⑮　立葵先まで血のたぎる

⑯　洗って拭ったぺたんこの顔だ

蔭一郎

⑰　棒グラフばかりでいっぱいの棺

⑱　わたくしにひまわりたちが向く理由

⑲　七月を見るため少しだけ開ける

⑳　生きているけどどうしても傘がない

田中耕司

㉑　むしむしで夏至て白のアジサイ

㉒　茄子の花はうすむらさきすっかり夏の雲

㉓　アサガオがおちょぼ口になっちゃった

㉔　おかしたくさんたべたいって短冊たなばたさま困ってら